2005/08/05
天野月子--聲
たとえば海の底で
あなたが生きてるのなら
わたしは二本の足を切って
魚になろう
深みへ墜ちるほどにあなたが近づくのなら
果てない闇を彷徨う影に
なってもいい
艶やかに漂うわたしの陽炎
叶わない現実に溺れていただけ
あなたはいない
わかっている
わかっている
昇る 昇る 太陽が
わたしの場所を浄化する
青く刻む刻印を
温い温い風がさらっていく
たとえばこの言葉が
あなたに届くのならば
わたしの声帯を取り上げて
捨ててもいい
鮮やかな傷を失くした現在を
何もかも奪うあなたの温度を
求めていた
求めていた
幻でも
消える 消える ぬくもりが
わたしの場所を連れていく
罰を拭うその腕に
抱かれながら眠りにつきたい
昇る 昇る 太陽が
わたしの場所を浄化する
罰を拭うその腕に
抱かれながら眠りたい
消える 消える ぬくもりが
わたしの場所を連れていく
青く刻む刻印を
温い温い風がさらっていく
蝕んでいく 記憶の破片 わたしを塞ぐピアスが足りない
忘れてしまう ぼやけてしまう あなたの聲が雑踏に消える
蝕んでいく 抜け落ちていく わたしを塞ぐピアスが足りない
跡形もなく 忘れてしまう あなたの聲が雑踏になる